さわや書店 おすすめ本
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no.4972022/3/21UP
本店・総務部Aおすすめ!
歴史問題の正解 有馬哲夫/新潮社
全然関係ないが、映画『セブン』にこんなセリフがある。
「本気で夫人に犯人を捕まえると言っただろ。私もそんな頃があった」
「犯人を捕まえなくて何をする?」
「捜査だ。証拠を集め現場の写真を撮り、事件の経過を調べ細かくメモを取る」
「それで?」
「すべてだ。それをきれいに書類にまとめて、万一の裁判のために備えておく」
「くだらんよ」
警察の捜査でもその仕事のほとんどは、事実を正確に記録しいつでも出せる状態に整理しておくところにある。まして国同士の歴史問題や戦争ともなれば、詳細な一次資料が国としての存在にも係わる最重要資料になるのだろう。
今のロシア・ウクライナの問題でも、感情的には見るに堪えないが、経済制裁の他に国際社会ができることは、経緯や事実関係を正確に記録し、各国の対応も含めすべてを保存しておく事しかないのだと思う。この地域で他国が下手に正義を振りかざして軍事介入したりすると、上記映画のブラッド・ピットではないが、暴力がさらなる暴力を呼び込み逆に利用され正当化されてしまう可能性すらある。ものの善悪や正義は諸刃の刃だ。
前回読んだ「アンナ・カレーニナ」はこんなエピグラフから始まる。
―復讐はわれにまかせよ、われは仇をかえさん―
これから後々の歴史が全ての答えを示すのだろう。
本書を読んでいてそんなことを思った。