さわや書店 おすすめ本
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no.4162020/9/19UP
本店・総務部Aおすすめ!
読書について ショーペンハウアー/光文社古典新訳文庫
読書の秋だが、まずは読書そのものの功罪を考えてみるのもいいかもしれない。本は量ではなく質だろうという事が、著者特有の辛辣さで表現されている。本書は徹頭徹尾「自分の頭で考えろ」というのがテーマだ。
多読する人は次から次へと他人の考えや感情などが入ってくるので、気が付くと自分の実体験が少なく、何事にも評論家的な考え方しか出来なくなる。現代で言えばSNSなども全く同じような状況だろう。バーチャルで流行を追いかけているうちに、いつの間にか他人の考えや評価が自分自身の思考や価値基準になってしまう。
本でも映画でもそうだが、読んだ時にはあまり意味がわからずに、でもどこか頭の中に残り考え続け、しばらく経ってからふとした瞬間にああそういう事かと腑に落ちる時がある。こういう時に読書が本当の意味で血となり肉となっているのだろう。
それにしても、これだけ時代が変わり価値観や技術も変わっているというのに、その主張が全く古くならないというのもかなり凄い事だ。本でも音楽でも映画でも古典として残るものにはそれだけの大きな価値がある。良いものはいつの時代でも熟読、再読に十分値する。