さわや書店 おすすめ本

  • no.399
    2020/5/23UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    残酷な進化論 更科功/NHK出版新書

    あまりいい考え方ではないのかもしれないが、誤解を恐れずに敢えて言えば、戦争も原発も殺人も自殺も事故も悪政も天災も、そしてウイルス感染症も、人類の進化のために必要なシステムがその都度作動していると見えなくもない。「死」によってしか新たな進化は生まれないとするならば、「死」こそが生命にとって最も重要な役割を果たしていると言ってもいいと思う。
    人間は「生きる意味」などに悩んでしまう時もたまにはある。だが本書のような巨視的な見方をする本を読んだりすると、今とりあえず生きているだけでも充分に立派なものだと思えるし、奇跡的なことだとも思う。ただ、宇宙の広大な虚無の彼方の先に、神のような存在がもしあるとするならば、「生きる意味」や「愛」や「夢」、あるいは「人工知能」などを真剣に考えてしまう脳を持つ、人類というものをどう見ているのだろうか。少なくとも趣味がいいとはとても思えない。