さわや書店 おすすめ本

  • no.374
    2019/12/27UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    快楽主義の哲学 澁澤龍彦/文春文庫

    1965年に書かれた本書には、今なお圧倒的な破壊力がある。
    非常に現実主義的なこの主張を前にすれば中途半端なヒューマニズムなど、どう考えても悪い冗談にしか聞こえなくなってしまうので危険だ。常識や伝統、或いは理想や信仰などを非常に大切にされるような真面目な方には決してお勧めできない。今で言うと例えば、SNSで思わず本当の事を言ってしまい大炎上して不特定多数の他者から、けちょんけちょんに罵詈雑言を浴びせられ心が折れそうになりながら引きこもっているような人などに対して、勇気を与える本だと思う。
    本書は先生や近親者などからは決して教えられることの無い人間の本当を、清濁併せ呑む人にしか出せない本物の迫力で教えてくれる。
    ちょっと逆説的で少々荒療治だが。