さわや書店 おすすめ本
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no.3002019/1/2UP
フェザン店・長江おすすめ!
爆走社長の天国と地獄 木村元彦/小学館
溝端宏という男は、シンプルには評価することの出来ない、強烈な何かを持った人生を歩んできた。
彼は、グラウンドもクラブハウスも選手もいないところから大分トリニータというサッカーチームを立ち上げ、高級官僚の座を投げ捨てて社長に就任。15年で日本一(2008年ナビスコカップ優勝)に導いた。これは、信じがたいほどの功績だ。
一方彼には悪評もつきまとう。放漫経営、6億の借金、Jリーグへの多大な迷惑、選手や職員の生活をメチャクチャにしながら、自分はチームを捨てて観光庁の長官に栄転…などなど。
プラスもマイナスも強烈な男の人生を描き出す著者は、『ことわっておくが溝畑の擁護をする気はさらさらない。私はむしろ長い間、アンチ溝畑の書き手であった』と本書の中で断っている。そんな著者が描き出す溝端宏は、僕にとっては魅力的な人物に見えた。もちろん、その振る舞いによって誤解された部分もあるだろうし、実際にそれは悪いと判断される行動もしているだろう。しかし、外野がとやかく言うよりも、溝端宏の一番近くで彼を見ていた者の言葉にやはり強さを感じる。彼が大分トリニータの社長を「解任」させられたことを知った当時の監督は選手に向かって、『いいか、社長を絶対に戻すぞ!』と言ったという。監督や選手からは、最後まで愛された男だった。
働いている、すべての人に読んでほしい一冊だ。