さわや書店 おすすめ本
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no.2962018/12/18UP
フェザン店・長江おすすめ!
蚊がいる 穂村弘/角川文庫
普通に日常生活を送っているが、どうしても世界に馴染めない感覚を捨てきれない人のことが、男女ともに好きだ。世の中の様々な常識や、自分の周りの日常の様々なことに、立ち止まって違和感を覚えてしまう人。当たり前だと思われていることをすんなり受け入れられず、周囲と違う嗜好を持って自分なりの行動をしつつ、とはいえ「みんな」が支配する世界でもそれなりにうまく頑張って生きている人。そういう人を見かけると、いいなぁ、といつも思ってしまう。
穂村弘も、そういう一人だと僕は思っている。
『文化祭でもキャンプでも大掃除でも会社の仕事でも、いつも同じことが起きる。全ての「場」の根本にある何かが私には掴めないのだ。現実世界に張り巡らされた蜘蛛の巣のようなルールがみえない。』
彼のエッセイを読むと、同類だなと思えてなんだか嬉しくなる。日常生活の中の、本当に些細な、躓く必要のないちょっとした段差みたいなところで、それってどういうことなんだろうと立ち止まって考えてしまう著者の生き方は、共感できるし、微笑ましいし、ガンバレ!と言いたくなってくる。