さわや書店 おすすめ本
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no.2882018/11/13UP
フェザン店・長江おすすめ!
哲学的な何か、あと科学とか 飲茶/二見文庫
人は「科学」と聞くと、現実をはっきりと理解し、物事を明確に判断するものだという印象を受けるようだ。どんな仕組みかは分からないが、「科学」というブラックボックスを通せば、世の中のあらゆることに白黒つけることが出来る、と思っている。だからこそ、豊洲移転や原発の問題などについて、科学者に対して「100%安全かどうか」を問う、という行動が生まれるのだ。
しかし、「科学」というのはそういう営みではない。本書を最初から最後まで読めば実感できるだろうが、「科学」というフィルターを通せば通すほど、余計に目の前の現実が分からなくなっていく。「科学」というのは、物事をくっきりさせるどころか、より深い混沌へと導くものでもある。
本書を読み、「科学」というのがどんな営みなのかを理解すれば、「科学」というブラックボックスに放り込めば何でも分かる、などという幻想は消え去るだろう。
「科学」は、現実がどうなっているのかについて答えてくれるものではない。その最たる例は、「光は波でも粒子でもある」という、量子論が要請する結論だ。科学者は誰も、「波でもあり粒子でもある」という状態をイメージ出来ない。しかし、そう考えることで、理論としてはばっちり上手くいくのだ。だったら、どういう状態かイメージは出来ないが、そういうことにしようぜ、というのが「科学」のスタンスなのだ。
「科学」というものを誤解しないためにも、本書は読んでおくべき一冊だ。