さわや書店 おすすめ本
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no.2272018/4/10UP
フェザン店・長江おすすめ!
君たちはどう生きるか 吉野源三郎/マガジンハウス
本書の主人公は、15歳の「コペル君」だ。コペル君は聡明だし、そして真っ直ぐでもある。周りの意見に流されることなく自分の頭で考えることができるし、誰かのためになることを率先して行うことが出来る。そういう、中学生らしからぬ大人びた子どもなのだけど、でもやっぱり、あらゆることについてそういられるわけではない。コペル君でも、自分がしてしまった行動について思い悩み、心をかき乱され、思考が散り散りになってしまうこともある。そうやって、少しずつ大人になっていく。
コペル君の周囲の、非常に小さな世界を中心に巻き起こる小さな出来事をベースに、叔父さんの類まれなる視点が、それらを豊かな教訓へと変えていく。まさに、「コペル君はこんな風に素晴らしく生きている。では、君たちはどう生きるか?」と問いかけられているような作品で、背筋が伸びる。
この本そのものが『父親』のようであり、『本物の教師』のようでもある。もの凄く大きなてのひらに包まれているような、世界にそっと受け止められているような、そういう暖かい安心感がにじみ出てくるような作品です。