さわや書店 おすすめ本
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no.1822017/10/10UP
フェザン店・長江おすすめ!
ソロモンの偽証 宮部みゆき/新潮文庫
この長い物語を短く紹介するのは難しい。細部を取り払ってざっくり説明すると、この物語は「中学生が裁判を起こす」という話だ。しかし、中学生が現実の裁判所に対してアプローチをして裁判を開かせる、というような話ではない。彼らがやろうとしていることは、『中学生の被害者』を追い詰めたという容疑を掛けられている『中学生の被疑者』を、『中学生の検事』が追究し、『中学生の弁護人』が擁護し、『中学生の裁判官』が裁定しつつ、『中学生の陪審員』によって評決が下されるという、非常にざっくりとした表現をすれば【裁判ごっこ】をやろうとするのだ。もちろん、『ごっこ』なんて表現できるような生ぬるいレベルではない。それが、この物語に凄まじさを与えているのだが。
正直これだけの長さの物語には、なかなか手が出なかった。それに、「これだけ長い分量を費やせばなんだって書けるだろうし、ズルい」という感覚もあった。しかし、読んでみてすべてが一変した。もう止められないぐらいの一気読みだったし、「この物語にリアリティを与えるにはこれぐらいの分量がどうしても必要だったのだ」と理解できた。凄い物語だ。