さわや書店 おすすめ本

  • no.168
    2017/8/15UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    働く人のためのマインドフルネス 菱田哲也 牧野宗永/PHPビジネス新書

    全然関係のない話で恐縮だが、「悪の法則」という映画がある。これは小説家コーマック・マッカーシー脚本、リドリー・スコット監督の作品だ。このコーマック・マッカーシーという作家は、残酷なまでに人生の不可逆性を表現する事により、それゆえの儚い美しさ、かけがえの無さを浮き立たせる素晴らしい小説を書く。映画は裏社会に一歩足を踏み入れてしまった弁護士が、もうどうしようもない所まで追い込まれ苦悩する。
    しかし、ああすれば良かった、しなければ良かったなどと言ってみても意味は無いし、失ってしまったものはもう絶対に元には戻らない。現実を拒み続けて、より苦悩が深まってゆく。それでもなお生きてゆくためには、今起きている現在の事実のみを正確に認識し、それを現実として受け入れるしかない…。
    前置きが長くなってしまったが、本書は仏教の考え方で、自分の心の動きをコントロールする瞑想方法などが平易な文章で紹介されている。上記の映画で表現されている人間の苦悩と本書の内容の一部が似ていなくもないと感じたのは、映画があまりにも強烈に心に残っていただけなのかもしれないが、どうだろうか。あらゆる宗教や哲学、或いは文学やビジネスでさえ、突き詰めれば根底のどこかではつながっているのかもしれない。