さわや書店 おすすめ本

  • no.150
    2017/5/30UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    寄生虫なき病 モイセズ・ベラスケス=マノフ/文藝春秋

    本書は、次のような疑問に答える作品である。
    【なぜ自己免疫性疾患やアトピーなどの病気は、発展途上国ではほとんど見られず、先進国でここ最近急増しているのか?】
    【なぜ兄弟がいる子は、長男よりも喘息やアトピーになりにくいのか?】
    【花粉症にかかる人間はなぜ、先進国の富裕層の人間からだったのか?】
    【世界の人口の1/3の人間が未だに寄生虫に感染しているのに、症状が出ることはほとんどない。寄生虫は一体人間の体内で何をしているのか?】
    これらすべてを包括的に説明する、従来の学説とは矛盾するある考え方が、ここ最近真面目に研究され始めている。それが、《人間は、寄生虫や腸内微生物を失ったがために、免疫関連疾患に冒されるようになった》というものだ。
    本書は、この仮説を裏付ける様々な実験を紹介しながら、何故寄生虫や微生物が様々な病気の発現を防ぐのか、人類と「腸内細菌叢」との関わり方はどうなっているのかなどついて深く考察する。