さわや書店 おすすめ本

  • no.138
    2017/4/4UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    バタス 刑務所の掟/藤野眞功

    本書は、一介の広告代理店社員である大沢努が、フィリピン最大の刑務所で「王」となるまでの道のりが描かれる作品だ。
    モンテンルパ刑務所は、パンカットと呼ばれる複数の集団によって管理されている。それぞれのパンカットは、大雑把に言えば日本の暴力団のようなものだ。絶対的な階級社会で、コマンダーと呼ばれるパンカットの頂点以下、明確な序列が存在する。刑務所内での生活は、どのパンカットに所属しているのかによって大きく左右されることになる。
    そして大沢は、類まれな商才を発揮して能力を見せつけ(刑務所内では、これまた暴力団のシノギのように、各人がそれぞれに商売を見つけ金を稼がなくては生きていけない)、他にも様々な要素が絡み合い、ついに刑務所内最大のパンカットであるスプートニクのコマンダーに選ばれることになる…。
    こんなことが起こりうるのか!という衝撃に満ち溢れた作品だ。才能というのはどこで開花するかわからない。