さわや書店 おすすめ本
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no.1122017/1/10UP
本店・総務部Aおすすめ!
ザ・ロード コーマック・マッカーシー著 黒原敏行訳/ハヤカワepi文庫
先日、小さな居酒屋でたまたま隣に座った人と映画の話題になり、その中で『ノーカントリー』はなぜ評価が高いのかという話になった。その人は映画や音楽にとても詳しく、私などではとても太刀打ちできる相手ではなかったが、曰く、そもそも原作のコーマック・マッカーシーの世界観が凄いからなのではないかという事だった。ノーカントリーの原作『血と暴力の国』、ピュリッツァー賞を受賞し映画化もされた本書『ザ・ロード』、脚本と製作総指揮を務めた映画『悪の法則』。その全てに共通しているのは、高度に文学的なクライムサスペンスとでも言うべきか、観る者読む者を選ぶ完全に大人向けの作品群だという事だ。ストーリーのほとんどは何の盛り上がりも誇張もない“悪”や“絶望”。エンターテイメント性が無いだけに一層嫌な感じがボディーブローのように効いてくる。その中に何を読み取るかはそれぞれの大人の判断だ。知人にはお勧めしにくい作品群なので評価が分かれるのも頷けるが、他人の評価はどうであれ一度は観るか読んでおく価値があるように思う。むやみにお勧めはできない。ただ、臨むなら覚悟を持って掛かるべきだ。