さわや書店 おすすめ本
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no.1022016/12/19UP
本店・総務部Aおすすめ!
夏への扉 ロバート・A・ハインライン著 福島正実訳/早川書房
半世紀以上前に書かれたSF小説を現代の私が読んで、ああいいなあと感じる事ができるのは、ほとんど奇跡に近い事だ。本でも映画でも長くその名を残しているものは、いつの時代でも普遍的で本質的な光を放ち続けているからだと思う。タイムトラベル系のストーリーでは、よく理論的にどうのこうのと言う人がいるが、全く詳しくない私にとっては単純に小説として面白かった。表紙の猫は少ししか出てこないものの、自己中心的でなおかつ一途という、世の猫の美点が見事に描かれており作中で印象的に登場する。ラスト近くに「未来は、いずれにしろ過去にまさる」という一文があるが、これは時間に対する著者と猫の、哲学的とも言えるひとつの答えなのだろうと思う。