さわや書店 おすすめ本

  • no.100
    2016/12/14UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    テロリスト・ハンター 匿名/アスペクト

    本書は、FBIでも政府の調査機関でもないただの専業主婦が、テロリストハンターとして活躍するに至った経緯を綴った作品だ。
    本書の最後で著者は、本作を出版することで自らの身と家族の身が危険にさらされることになる、と書いている。恐らく自分と関わった多くの人に迷惑を掛けることにもなるだろう、と。しかし、それでも出さねばならない、と彼女は決意する。匿名で出版する、というのがギリギリの判断だったのだろう。
    イラクで生まれたユダヤ女性である著者は、イラク国内では迫害されていた。父がスパイだと強制自白させられ処刑されたことをきっかけに、彼女らはイスラエルへと移り住む。そこからさらにアメリカへと移り住んだ彼女は、やがてあるきっかけから、誰でも手に入れることが出来る公文書だけを使って様々な情報を手に入れるエキスパートになっていく。
    一介の専業主婦がインテリジェンスの最前線にいるという不思議さと、彼女が経験する現実の凄さに圧倒される。