さわや書店 おすすめ本

  • no.256
    2018/7/11UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    虚無への供物 中井英夫/講談社文庫

    1964年刊行のミステリー小説。名作は半世紀以上たった今もなお、古くなるどころか時を超えてその輝きを増し、さらに新たな価値を放っているように思う。それは、時代に左右されることのない、人間の「業」そのものを描いているからだ。
    この作品の意図はそのラストに全て集約されているので、ちょっと長い小説だが、ばかばかしいと思わずに最後まで読んでみてほしい。そのばかばかしさも本書を構成する重要な役割を担っている。現代のネット社会の功罪などは、まさに「虚無への供物」としか言いようがない。
    なぜか映画『凶悪』を思い出した。
    鉄格子の内と外、純粋な悪と善。今、自分はどちら側に立っているのか。自省の意味も込め、よく考えてみたいと思う。